FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

帯に偽りあり

有栖川有栖『乱鴉の島』(新潮社)
乱鴉の島

火村シリーズ4年ぶりの新作長編にして、初の孤島もの!
ペダンティック、アクロバティック、ファンタスティック、これが本格ミステリだ!(帯より)

ペダンティック、アクロバティック、ファンタスティック? ……それは、ない。
冒頭で事件の奇怪さをアピールしてくるが……そうでも、ない。
作者らしくない作風に挑んだ姿勢は評価できるが、帯で期待してしまった分、肩透かしを食らった感じだ。
ベタすぎて、間違いなく営業に再考を促されるだろうが、例えば“有栖川ワールドと孤島にようこそ”
という帯だったら、それほど文句はなかったかもしれない。


結局、相変わらず地味。地味ではあるが、悪くはない。むしろ、好きな部類の地味だ。
しかし、自分が作者に期待するロジックの美しさも、切れ味もない。
良くも悪くも相変わらず。自分が昔に書いた『モロッコ水晶の謎』の感想を読んだら、なんだか泣けてきた。


動機はペラペ〜ラで、ある意味、ファンタスティック。ある意味、必読だが、ハードカバーで買うまでもないだろう。
そもそも、この厚さは適量なのか。ぶっちゃけ、税込1785円は高い。