FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

大満足

東川篤哉 『もう誘拐なんてしない』文藝春秋
もう誘拐なんてしない
→読了。
ビバ、東川篤哉! 個人的には『交換殺人には向かない夜』以来のヒット。
ユーモアミステリ=仕掛けがヌルい、と敬遠する人への反論材料にしたいくらい。
以下、ちょっとだけネタバレ。






























登場キャラクターがあまりにも記号的であり、ミステリのお約束が
これでもかと言うくらい意図的に散りばめられているため、犯人がバレバレ。
「やっぱりお前かよ!」レベル。犯人当ての醍醐味は味わえないだろう。


また、なぜか用意されているハリセンとそれを使ったツッコミ、
あまりに「トホホ」なラストの展開などの“ベタ”は
電車内で思わず「くだらねぇ〜」と呟いてしまったほど*1
読む人を選ぶタイプの小説であることは間違いない。


その代わり、“ギャグで伏線を隠す”というこの作者が得意とする手法が
実に効果的に決まっている。悔しいが、ちょっと唸ってしまった。上手い。上手すぎる。


文章の読みやすさも光る。また、主人公とヤクザの娘とのロマンス、
濃すぎるキャラクターが揃うヤクザ一家のドタバタも面白い。


作者の確かな力量を感じる秀作。
万人にオススメしたいんだけどなぁ……。(えー






(関連)
東川篤哉『交換殺人には向かない夜』(光文社)※カッパノベルス
交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス)



*1:自分は大好きだけどNE! 「くだらねぇ〜」は褒め言葉の意!!