週末晴れたけれど読書で終了
●倉野憲比古『スノウブラインド』(文藝春秋)
ミステリ愛好家の諸君よ、『葉桜の季節に君を想うこと』『イニシエーション・ラブ』の次はこれを読め!(帯より)
→というワケで読んでみたが……好事家にしかオススメできないゲテモノ・ミステリだったとさ。
これがデビュー作という作者、蘊蓄は豊富で文章に手慣れている感じもあるものの、作者ならではの魅力に乏しい。劣化○○かよ!
「上記の傑作の名前を借りて販促に使用したけれど、端っから真っ正面に受け止める気はありませんでした!」
……と言わんばかりの作風。そんなの、講談社ノベルスにでも任せておけばいい。
ま、このジャンル、久しぶりに読むならアリかもNA!(←どっちなんだよ!)
●『Story Seller (ストーリーセラー)』2008年05月号(新潮社)
→“読み応えは長編並、読みやすさは短編並”の全編書き下ろし、
そのうち、2〜3作が面白ければOK!……というスタンスの新雑誌。
執筆陣は、伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、道尾秀介、本多孝好という、まさかの豪華メンツ。
リーダビリティもクオリティも高く、これで780円(税込)はバーゲンプライスだろう。ベストは道尾秀介『光の箱』。
また、有川浩の純真すぎる話*1も佐藤友哉の文章も、自分の肌に合わないのが分かった。これも収穫だった。
●法月綸太郎『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』(光文社) ※カッパ・ノベルス
売れっ子ライター・虻原がマンションから転落死した。そのマンションには、虻原もかつて所属していた
劇団の主宰者が住んでいた。最近、その劇団の芝居を巡り、二人には感情のもつれがあったらしいのだが…。
虻原は、寄稿した雑誌の最終回のコラムに不可解な俳句を二首、残していた。
さらに「六人の女王にたずねるがいい」という謎のメッセージが。はたして、俳句に隠された謎とは?(表題作)
星座にまつわる六つの謎を解き明かす、まさに端正な本格推理。(e-honより)
→シリーズ探偵“法月綸太郎”もの。星座というテーマに縛られている点が懸念材料だったが……論理的な推理を堪能できた。
作者自身は「プロフェッショナルな仕事じゃない」と謙遜しているが……これでも十分だろう。
ベストは『ゼウスの息子』か『ヒュドラ第十の首』か……。甲乙付けがたい。
つうか、『法月綸太郎の新冒険』『法月綸太郎の功績』といい、作者の短編はハズレがない。
後半の6星座が収録されるであろう、『2』も楽しみ。
あとは、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』を再読しつつ、
現在は、石持浅海『耳をふさいで夜を走る』を読み進めている最中。