FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

今度もイヤミスだ!

湊かなえ『少女』早川書房
少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。
その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?(amazonより)

→デビュー作『告白』がベストセラーとなり、2008年版週刊文春ミステリーベストテン第1位にも輝いた
注目の新鋭、湊かなえの2作目。読了。以下、ネタバレあり。












由紀→敦子→由紀といった具合に目まぐるしく変わる一人称視点、伏線の回収の仕方など、総じてテクニカル。
前作同様に文体が読みやすく、余韻の残るラストも用意されている。再読する価値もある、優れたミステリだと思うが……
序章の強烈なインパクトでラストまで読者を導いた感のある前作に比べると、やや盛り上がりに欠けるか。


難点が1つ。一人称視点の変化が分かりにくい。明からさまなヒント*1 が用意されているが
それに気づかないと、混乱してしまう人もいるのではないだろうか。


……とまぁ、褒めているんだか貶しているんだかよく分からない感じで煙に巻いてみたが(えー
期待感を失望感に変えなかったという点では、かなり満足できる作品だったかと。
特に、前作同様、胸くそが悪くなるような登場人物の造形が素晴らしい。
(まだ2作しか出ていないが)現状では、作者の作風=イヤミスと言っても差し支えない。
つうか、イヤミスが2作連続で一般層に評価されるのだろうか。その売れ行きには非常に興味がある。(←余談)








あと、以下は連休中のお楽しみ。有給消化ばんざ〜い!


道尾秀介『鬼の跫音』角川書店
鬼の跫音




米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』(新潮社)
儚い羊たちの祝宴




有栖川有栖『赤い月、廃駅の上に』メディアファクトリー) ※幽BOOKS
赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)




読後感の悪そうな作品が揃ったのは偶然ってことで。
つうか、『赤い月、廃駅の上に』の紙質が気になる。この本、軽すぎるだろ……。



*1:ヒントというよりも、もはやガイドと言えるレベルか