FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

塵よりよみがえり

会社近辺の書店の位置を把握できたこともあり、読書量が前職並まで戻りつつある。
自由時間が圧倒的に少なくなっているので、時間の使い方が今後の課題。
自転車通勤との兼ね合いもあるしなぁ……。




三津田信三『密室の如き籠るもの』講談社) ※講談社ノベルス
密室の如き籠るもの (講談社ノベルス)

猪丸家に突然、謎の女が現れる。その名は、葦子。狐狗狸さんのお告げを伝える彼女が後妻に来てから、何かがおかしい…。
そんなある日、屋敷の二階で密室殺人が起きた。惨事の元凶は狐狗狸さんなのか、はたまた…。
旧家をおそった凄惨な事件を、刀城言耶が解明する(「密室の如き籠るもの」)。表題作ほか、全4編収録。シリーズ最新作。(amazonより)

→読了。読む前は「このシリーズの重厚な怪奇世界の構築には、まず分量が必要だろ……」と思っていたが
読み終わる頃には「うむ、これもなかなか……」となっていた。(←どっちなんだよ)
怪奇話のスケール感はさすがに長編に劣るが、ミステリと怪奇のバランスが良い。
ベストは表題作『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』。




貫井徳郎『乱反射』朝日新聞出版)
乱反射

ひとりの幼児を死に追いやった、裁けぬ殺人。街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、
職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、事なかれ主義の市役所職員、尊大な定年退職者……
複雑に絡み合ったエゴイズムの果てに、悲劇は起こった。残された父が辿り着いた真相は、罪さえ問えない人災の連鎖だった。
遺族は、ただ慟哭するしかないのか? モラルなき現代日本を暴き出す、新時代の社会派エンターテインメント! (amazonより)

→一言で言えば「やるせない」。社会派エンターテインメントという言葉で釣って、イヤミスを読ませる。
遺族だけでなく、読者も慟哭。さすが、貫井! そこにシビれる!あこがれるゥ!
あと、数字の仕掛けが効果的。おかげでテーマは激重なのに、サクサク読めた。




米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件(上)』東京創元社) ※創元推理文庫
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。
学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。
ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。
―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。(amazonより)



米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件(下)』東京創元社) ※創元推理文庫
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。
ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…
ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。
小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。(amazonより)

→読了。ミスリードが露骨すぎてミステリとしてはイマイチだったが、まぁ、気楽に読める一冊。
小鳩くんの推理を木っ葉微塵に打ち砕く仲丸さんのパートがワリと好きだったんだが……(以下略)。






以下、これから読む。


●松本寛大『玻璃の家』講談社
玻璃の家
島田荘司選・第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞(福ミス)、受賞作。期待せざるを得ない。




樋口有介『捨て猫という名前の猫』東京創元社
捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)
→柚木シリーズの最新長編。先月の半分を過去シリーズの再読に費やしたのは内緒。




真梨幸子『殺人鬼フジコの衝動』徳間書店
殺人鬼フジコの衝動
→『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞した氏の最新長編。評判が良いので購入。




万城目学『プリンセス・トヨトミ』文藝春秋
プリンセス・トヨトミ
→さすがに、読んでいないとまずい。その1。




森見登美彦『恋文の技術』ポプラ社
恋文の技術
→さすがに、読んでいないとまずい。その2。




(余談)
原書房版『凶鳥の如き忌むもの』(素行迷宮)
→何だって! ボーナストラック的シリーズ書き下ろし短編『天魔の如き跳ぶもの』だと!?
……というワケで、自分の本棚には講談社版のノベルスと原書房版の単行本が仲良く並ぶハメになるかと。