FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

絶賛してもいいですか

信濃川日出雄『fine.』(小学館)#1
Fine. (1)

夢と現実の分岐点に立つ“27歳達”のリアルを描く、
アート青春群像劇!!(帯より)

→「野郎の書いた『ハチクロ*1社会人編か?」と思って気軽に読んでしまった
自分(今年で27歳)に壮絶なボディーブローを打ち込んできた怪作。


2000年に仲間たちで巨大雪上地上絵(2000年とかけた“にしん”の絵)を描くシーンは、
まさに『ハチクロ』のようなキラ☆メキ感あふれる青春群像劇のそれ。
しかし、この作品は“にしん年メンバー”のその後を描く2006年から始まる。


描いたイラストが1枚5000円と言われ(しかも著作権を譲渡)、怒りのあまり
タダでそのイラストを渡す主人公・上杉。職業は“フリースタイル”(自称)。
そのときの様子をネットラジオに乗せ、自分の生き方を熱弁するが、
ネットラジオを終えると、「何やってんだ」と自問自答する。


そんな上杉をバカにする“にしん年メンバー”の島津は
“クライアントが白と言えばカラスも白になる”下請けデザイン会社で働き、
勤労意欲を著しく欠いている。


その2人を対比させる演出が、今の自分の心にクリティカルに響いた。
ハチクロ』のような“恋”ではなく、“生き方”で悩む登場人物たちの悩みが
自分(編プロ勤務)とリンクしたワケですな。やられた。完全にツボに入ってしまった。
主人公のネットラジオ停止宣言とリスナーのやり取りもヤバイ。
あと、他のメンバーの話もあるけれど、それらは略。読んでくれとしか。




ともかく、魂を揺さぶられたという意味では、ここ2〜3年で読んだコミックの中で最高の作品。
主人公とある人物との関係を後出しで明かしてくるところなど、物語の構成には作者のセンスを感じる。
1巻の終わりを読む限り、これから抜群に面白くなってくる予感があるので、
本誌(週刊ビッグコミックスピリッツ)で追っかけてみようと思う。