FURUGI@BLOG

横浜在住のmooran(むーらん)が書く日記のようなもの。

自分は老衰を望む

東野圭吾流星の絆』(講談社
流星の絆
→早速読むつもりが、家人に持って行かれた。○| ̄|_






石持浅海君の望む死に方』(祥伝社)※祥伝社ノン・ノベル
君の望む死に方 (ノン・ノベル)

膵臓ガンで余命6ヶ月──〈生きているうちにしか出来ないことは何か〉
死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則(ひなたさだのり)は社員の梶間晴征に、
自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。
殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で──。
幹部候補を対象にした、保養所での“お見合い研修”に梶間以下、4人の若手社員を招集。
日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調(ととの)った。あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。
だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙な齟齬(そご)をきたしはじめた……。
s-book.com:君の望む死に方より)



→『本ミス』(2006)2位、『このミス』(2006)2位に輝いた倒叙ミステリ、
『扉は閉ざされたまま』の続編。つうかコレ、12日発売だったハズじゃ……ま、いいか!(えー


こちらは読了。フライングゲットっぽいから、感想を書いておく。
以下、本作と前作『扉は閉ざされたまま』のネタバレ注意。








































頭の切れる被害者や犯人役は、細心の注意を払い、計画を進めていった。
彼らの犯したミスは些細なもの。なにせ、事件はまだ発生していないのだから。
しかし、探偵には露見してしまった! さすがスーパー探偵、もはやエスパーの域!!
敵うワケありません!!! つうか、あなたが神か!? というお話。


結論から言うと、(色々と強引なところはあったが)探偵vs犯人の
知的バトルを楽しめた前作の方が面白かった。




まず、本作の被害者や犯人役は冷静すぎる。確かにまだ事件はまだ発生していないが、
残り時間の問題があるなかで、トライ&エラーを繰り返しているような状況なのに……。
「ちょっとは狼狽しろよ!」と言いたい。
逆に、ラストシーンの被害者には、「ちょっとは冷静になれよ!」と言いたい。


そして、探偵の“犯行の阻止の方法”がマズイ。*1 その結果、被害者や犯人役が
探偵と“直接”対峙するシーンが前作とは比較にならないほど減っており、直接対峙時に楽しめる
互いの腹を探り合う知的バトルや、被害者や犯人役の感情の揺らぎが少なくなっている。


文章や人物が淡々としているのは、この作者の作風ではある。
しかし、本作はあまりにも淡々としすぎていて、盛り上がりに欠けていると思う。




一方、続編としての面白さは十分にある。
特に、探偵が感情を爆発させるシーンは必読! 感情を抑えるまでの流れ……完璧!! うん、キモイ!!!
つうか、お前、前作のラストで……(略)。とても、あのセリフ通りには受け取れないでしょ。
この探偵が活躍する本シリーズは3部作ということなので、最終作への伏線だよNE!(えー


また、探偵が“動機”について語るシーンもナイス。自分も賛成なんだが、
アレ、前作の読者から寄せられた“動機に対する批判”へのアンサーとしか読めないぜ。


ちなみに、作者のことばにあるように“事件が起こるまで”を描いた小説であり、
“事件が実際にどのようになったか”は描かれていない。
最初のページをヒントにして、結局誰が死んだのか(生き残ったのか)を推理するのも面白いと思う。*2
……うん、“救急車の出動の要請”がポイントだNE!(えー






(参考)前作。

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)




*1:そのやり口が“マズイ”のではなく、小説に与える影響が“マズイ”という意味

*2:歌野晶午の某作品を思い出す