スナッチャー、次世代機でリメイク希望
インタビュー取材が当初の予定数から、着実に増加中。
そろそろ2ケタに到達しそう。このままだと、自分……憤死!
なので、手抜き更新用に書いておいたミステリの感想をペタリ。
ちなみに、一番最近に読んだヤツNE!
●西澤保彦『スナッチ』(光文社)
22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた。空白の31年。
ぼくは。きみは。ぼくたちは。少しは幸せだったのだろうか。
彼を襲ったのは、不条理でやりきれない、人生の黄金期の収奪。
あらかじめ失われた、愛しい妻との日々。
おぼえのない過去を振り返る彼に、さらなる危険が迫る。(帯より)
帯に書かれたあらすじを見て、北村薫『スキップ』を連想してしまったので購入。(えー
……で、サクッと読了。『スキップ』のような感動ストーリーではないが、
『スキップ』以上にSFでありミステリ。以下、本作のSF設定に関するネタバレ多数。
(関連)
●北村薫『スキップ』(新潮社)
本作の序盤、主人公の時間が“スキップ”した理由があっさり判明する。
昭和52年(1977年)、主人公は、外宇宙から飛来した異種生命体に肉体を乗っ取られてしまったのだ。
……とはいえ、肉体を乗っ取った異種生命体には「人間を滅ぼして、地球をゲットだぜ!!」といった類の悪意はない。
だから、元人格の生活を引き継ぐ。元人格の記憶も引き継ぐ。主人公の場合も同様。
なお、異種生命体が宿っている人は“ベツバオリ”と呼ばれる。異種生命体が飛来してから31年後の現代では
約240万人のベツバオリが確認されており、行政レベルでケアが行われるくらい、周知の事実となっている。
ベツバオリが警戒すべきなのが、何らかのきっかけで元人格が具現化する“サシモドシ”だ。
サシモドシが起こると、元人格と異種生命体の人格=2つの人格が1つの肉体の中で共存することになる。
この状況は、元来ストレスに弱い異種生命体には致命的。サシモドシ後の癌の発症率は、100%となる。
つまり、サシモドシ=死の宣告に近しい。
以上のような、特殊世界のルールの枠内で、サシモドシによって覚醒した(意識だけの)主人公が
肉体をコントロールしている異種生命体と一緒に、連続殺人事件の謎に首を突っ込む。
……というワケで、“奇妙な設定を除けば、実はきっちりとした”いつもの西澤ミステリだったりする。*1
正直、犯人の絞り込みが容易なので、連続殺人事件の真相は拍子抜け。また、冷静すぎる主人公にも違和感が残る。
ただし、上記のSF設定や、ド定番ネタである“過去と現在のギャップ”、リスクやストレスを避ける
異種生命体の独特なライフスタイル*2などのギミックが満載で、面白く読めたことは確か。
サクサク読めるし、読後感も悪くない。