3冊、がっつり読了
●石持浅海『人柱はミイラと出会う』(新潮社)
→人柱、黒衣、お歯黒、参勤交代などの風習が残る
非日常の日本を描く、連作ミステリ。
特異な空間や設定を舞台にした事件を、理詰めでスキのないロジックで
淡々と解決する……それが、この作者の描く推理劇の特徴。
そして、本作のパラレルワールドも、ただトリッキーな設定ではなかった。さすがの力量だ。
ただし、「全7編すべて良かったか」と聞かれれば、「ちと微妙」と答えざるを得ない。特に後半の2編がイマイチ。
表題作のクオリティですべて書ききってもらえると、手放しで喜べるんだけどなぁ……。
(前作『顔のない敵』もその点が惜しかった)
●蘇部健一『六とん3 (講談社ノベルス)』(講談社)
決して人気はないが、バカミス好きの支持で生き長らえていると思われる
キワモノ・ミステリシリーズ『六とん』の第3弾。
で、読んだんだけどさ……。こりゃあ、喝だな喝! 違ぇよ、蘇部健一!!
自分は“世にも奇妙な物語”が読みたいんじゃなくて、
もっとおバカでクオリティの低い、トホホなやつが読みたいんだよ!(えー
あと、いくらクオリティが低くても問題ないが*1、話がオチていないのは問題だろ!
ちなみに、表紙は『びんちょうタン』でおなじみ、江草天仁氏の萌えイラスト。
このイラストで新規読者を集め、あの内容を読ませる。……作者や講談社の悪意が感じられるな。
この表紙だけはグッジョブ。天晴れと言えよう。
● 小山正(編)『バカミスじゃない!?―史上空前のバカミス・アンソロジー』(宝島社)
→『このミス』発、バカミスばかりを集めたアンソロジー。
執筆陣は、辻真先、山口雅也、北原尚彦、かくたかひろ、
戸梶圭太、船越百恵、鳥飼否宇、鯨統一郎、霞流一。
「これはバカだ」と評判の高かった鳥飼否宇『失敗作』を立ち読みしたところ
あまりのバカバカしさに、店先で魂が抜けそうになった。よって、速攻で購入。
帰りの電車内で、夢中になって読んでしまった。これは素晴らしいアンソロジーだ。ぜひ、シリーズ第2弾を!
そして、次は蘇部健一も仲間に入れてあげてくださいNE!>小山氏
*1:それにしても超失礼だな、この文章(笑)